妖恋華
学校―――本来のあるべき生活の場
いろいろありすぎて、学校というものがひどく平凡なものに思える
今日の“妖”といい、自分は少し非現実的なものに関わりすぎたのかもしれない
「話は終わったのか?」
頭上から問われ階段を見上げると、今下りてきたような青がいた
「うん」
ぼうっとしたような返事の仕方に青は少し眉を寄せた
「来い」
そう一言告げ、青は一方的に乙姫の手を引いて玄関口、そして外に出た
「どうしたの?」
「……それはこちらのセリフだ」
「えっと…明日から学校に行くことになって………それで……それが普通なんだよなぁって」
ほら、昨日から不思議体験ばっかりだったし―――笑う乙姫に引き換え青は表情を曇らせた
「急だな」
「なんか、今日の会合で決まって―――摎の頭首が必要なものは全部揃えてくれたみたい」
「……!?」
青は一瞬、瞳に驚きを彩らせ、そしてその瞳は次第に冷たいものになった
「―――ついに動き出したか」
その言葉の真意が掴めず、乙姫は青を見上げる
目を細めた彼は乙姫に視線を向けると言い放った
「摎 戒斗には近づくな。いくら覚醒していないとはいえ、お前が神薙の血を継いでいることは誰にも否定できない。その血は―――確実に狙われる。他のものにも、な」
「何、言ってるのかわからないよ……」
「嫌でもすぐに分かる。今日はもう寝ろ」
もう話す気はない―――向けられた背が語っていた