妖恋華
〇第参章〇
朝の一時
あんな話をされては気になっておちおちと寝ていられない
乙姫は寝不足による頭の痛みを抱えながらも、摎の頭首が用意したという制服を身につける
セーラー服の型で黒生地。そして赤いリボン。襟の部分には三本の白い線が通っており、左腕には同じように白色で独特の校樟が入っている
象られているのは華だろうか――――
“はあ…”とため息を一つついて部屋の出入口の襖を引いた
そして、昨日のように台所からは人の気配
時間も昨日と変わらないのだから当たり前なのだが…
「おはよう………」
青はほんの少し目を丸くして、振り返った
「…もう起きたのか」
その後、訪れたのは沈黙。
気まずい二人はどう対処していいのか分からず、目を逸らす。
そのとき、ちょうど乙姫の視界に入ったのは青の手元だった
「お弁当――――」
「急な話だったからな…有り合わせのものしか作れない」
「わ、私の分もあるの…!?」
「…?ああ」
青は疑問符を浮かべつつも頷き返した
一方、乙姫は驚きやら嬉しいのやらで目を丸くして、ただ呆然とその場に立つ
「…手伝う!!」
意気込む乙姫を不思議に思いながら、隣に立つことを許す