妖恋華
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「鬼瀬先生!」
職員室の入口で眉根を寄せるのは、本日転校してきた少女
鬼瀬は一瞬だけ目を鋭く細め、次の瞬間にはにこやかな笑みを浮かべ乙姫の元へやって来た
「神薙さん?今は授業中のはずですよ?」
「青の様子が変なんですけど、先生が何か言ったんじゃないんですか?」
乙姫は責めるようにキッと睨むが紅夜からしてみれば、何の迫力も意味もない。
「何故、そう思うんですか?」
「先生と話した後から変になったんですもん!」
「俺と話したのは朝の早い時間。その後、彼が何をしていたか分からないじゃないですか」
笑顔だが目は“変な言い掛かりをつけんな”と語っている
乙姫はうっと言葉を詰まらせる。
確かに彼が姿を消した後のことは分からない。
でも、紅夜が何かを言ったのは確かなんだ。それだけは断言できる
何か言いたそうに自分を見上げる乙姫に紅夜は笑顔を張り付けたまま流す
まあ、あいつに何か言ったのは事実だけど―――と紅夜は心の内で舌を出した
「……そうですね。わかりました。変なこと言ってすみませんでした」
言葉こそ謝罪を述べているが、その目はいまだに紅夜を疑っている
いや、確信しているな。
さすが巫女様と言うべきか?
僕《シモベ》の変化には聡いか
でも、まあ。こういう反抗的な反応は初めてだな。龍牙以外では…
相手が女なら、尚更珍しい。
素の自分を見たからという理由も多少はあるんだろうけど。
しかし、やっぱり刻印を残したのは正解だった。
これからあの巫女様がどうなるのか、暇つぶし程度に観察させてもらうか。
紅夜は薄い笑みを浮かべた