妖恋華
《会えば分かると思うけど、摎 戒斗って無駄に容姿が整ってるから、“花嫁”を言葉通りの意味で捉えてる女の子たちは結構乗り気だったりするんだよね
でも、中には反発する子も居て、それで、そういう子たちが外界と連絡取れないように電話とかにもちょっと細工されてるんだ。下手に連絡を取られて何も知らない人間に干渉されたら困るからね
それには国も力を貸してる。
やっぱ、この世の均衡のため、なんてなったら、協力するしかないよね》
「国も信じるんですか…?こんな夢物語みたいな話を…」
《偉い政治家の中には、この村の出身の人が何人かいるし、乙姫ちゃんも実物を見たから信じてるでしょ?それと同じ、妖の一匹でも見せてやれば簡単に信じたさ。
それで国も、そんな事実が外に洩れたら大混乱になるってことで秘密裏に協力してくれてるの》
「これで、電話が使えない理由、分かった?」
「はあ…納得はできないですけど、理解はしました。中も外も私の村脱出には味方になってくれなさそうですね」
「僕と青ちゃんは君の味方だよ。正直、華紅夜様が何を考えているか分からない。自分の孫を花嫁にしたがるなんて…。でも僕らは絶対に君の味方だ」
まっすぐ乙姫の目を見返す強い意志を宿した瞳。
それは正に真摯の一言に尽きる
でも―――