魔王城にいらっしゃい!
『あれ、アンタ陽性だぜ‥?おっかしいなァー。』
「陽性ってつまりどういう事だ?」
『勇者反応出ちまってるってこった。』
「ほんとか!!」
『俺はねー、ミスを出したことが無いんだよ。』
精密に出来てるからねェ。と天使は笑いながら言った。
『まぁ詳しいチェックは俺じゃ出来ないからー、大天使の所へ行かないとかなァー。』
「それって処刑帳消しじゃないか!?」
「うわあ、やったね!」
喜ぶ俺たち兄弟の前に面白くなさそうな顏をした王が立ち塞がった。
「誰が帳消しだなどと言ったのじゃ!けっきょく、お前たちが勇者の子孫かどうかは分からなかっただろうが!」
王は怒鳴り散らす。
「処刑じゃ処刑!私にたてつく者は許さん!」
鼻息荒く王はまくし立てて、今にも襲い掛かりそうな勢いで声を荒げた。
『あんたホントーに国王なのか?とんだ野蛮人だな。』
天使は一言ボソリと悪態をついた。
「なんじゃとお!貴様ァ!!」
『規約なんだよ。あんたに邪魔されると困るんだ。悪いけど、しばらく大人しくしてて貰うよ。』
「むうう‥う、な、何を‥?」
『無力化の術だよ。』
「ぐ‥」
__バタンッ。
マトス国王はゆっくりと床に倒れ込んだ。
「え、まさか死ん」
『阿呆、殺すはずないだろ?暫くしたら起きるよ。』
さー、お前等は今のうちに此処から逃げるこったなァ。
俺が地図を描いてやるよ。大天使の居る場所へ行くだろう?
半袖ハーパンで出掛けたすぐ帰るはずの俺たちの旅は、また次の目的地へと延長されたのだった‥。