木苺の棘
母は、頑張れと言うけれど
人見知りの私は、なかなか
みんなの中に入って行く事
ができなかった。

方言で話すのは、私だけ。

自然と話す事も少なくなる。

暗く沈む心・・・

「アリスちゃん
 
 アリスって名前
 かわいいね?」

心を鎖した私に、初めて
声を掛けてくれたのが
八重だった。

「かわいくなんかない
 わたし、アリスって
 名前、きらい」

「どうして?」

私が、自分の名前を嫌いに
なったのは、幼稚園の発表会
が原因だった。
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