木苺の棘
あの、いつかの雨の日も
貴方は、今と同じように
降りしきる雨の中、私に謝った

貴方の髪に宿る露

髪先から、滴り落ちる雫

その儚さに心を奪われていた
私の唇に、たまき先輩
貴方が、触れたりしたから。

『たまき先輩
 謝らないで・・・
 
 悪いことしてるみたい』

あの日の先輩は
いつもと様子が違った。

貴方は、叶わない恋に
苦しみ、泣いている私を
可哀想に思っただけ。

ただ、それだけ・・・

「たまき先輩は
 何も悪くないよ」

過去と同じ言葉を告げて
私は、貴方の前から
また、逃げる。
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