木苺の棘
甘く優しい口づけが
激しい雨音のように
熱く求める口づけに変わる。

息ができない私は
唇を逸らし、息を吸う。

「先輩・・・」

離れる、唇・・・

「アリス」

私は、耳を研ぎ澄ます・・・

雨音に、貴方の声が
掻き消されないように・・・

「アリス、俺は
 お前の事が・・・・・・」

『レン
 アリスが、今以上に
 もっと、苦しむ事に
 なってもいいの?』

貴方は、愛の言葉を呑み込み

私には、何も聞こえない。

聞こえるのは
静まる雨音だけ・・・
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