木苺の棘
彼女は立ち上がり
怒って私の頬を叩いた。

今度は、私が彼女の頬を
思いっきり叩いた。

「痛い
 捨てられた女のくせに
 生意気な女」

私の髪を引っ張る、彼女。
私は、彼女の足を蹴った。

彼女も負けずに、ヒールの
踵で私の足を踏みつけた。

「痛い」

「やめろ」

私は彼女の胸倉を掴み
何度も顔を叩いた。

こんな真夜中に
男を取り合って
女が二人、縺れて倒れる。

雨で濡れた地面

洋服が汚れる事も
お構いなしに
取っ組み合いの喧嘩をする。
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