木苺の棘
喧嘩を止めさせようと
巽が間に入る。

「やめろ、やめるんだ
 お前ら、いい加減にしろ」

彼女に覆い被さる私の
脇を持ち、立たせる巽。

その後、彼女に手を差し出し
彼女を立たせようとした。

彼女は泣きながら、その場に
立ち上がり、巽の首に腕を
絡ませた。

巽は、泣いている彼女を
宥めるように、その腕に
抱き留めて、彼女の背を
優しく何度も擦ってあげる。

私の苛立ちは納まらない。

どうして、誰も
私を愛してくれないの?

どうして・・・
< 134 / 674 >

この作品をシェア

pagetop