木苺の棘
巽が、こうして黙って
関係を持った女性の
前から消えるのは

その女性の為だと私は
お店のママから、後に
聞いて知る。

一人の女性に入揚げている
事が分かれば、その女性を
利用しようと考える者も
出てくる。

『彼程の重要な立場の人間
 の女ならば尚更』

私には、よく分からないけど
貴方は、そんな危ない世界の
住人。

愛する女を守る為に

貴方は、消える・・・

その夜、ベッドに座る私の前

巽は床に膝を付き、私を
その腕に抱きしめながら
子供のように、罰悪そうに
謝るのだった。
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