木苺の棘
チアキは、マネージャーや
スタッフの目を気にして
話を終わらせる。

「後で、聞かせてよ」

そう言って、漣の肩を叩いた。

あの日のように・・・

『タマキ、お前
 それ、マジで
 言ってるのか?』

急に決まったライブ・・・

限られた時間、猛烈に
楽器を弾き、仲間と音を
合わせる日々。

練習の帰り道、ギターケースを
肩に掛け並んで歩く二人・・・

「チアキ、違うのか?」

「違うだろう?
 
 アリスが好きなのは
 俺じゃない、お前だよ

 見てたら分かるだろう?
 アイツ、お前の事ばかり見て
 毎朝、すげぇ
 嬉しそうに笑うじゃん」
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