木苺の棘
最愛の恋人を亡くした
可哀想な男・・・

俺の過去を知る奴は 
そう、誰もが口を揃えて
言うだろう。

だけど、奴らが
本当の俺を知れば
きっと、俺の事を蔑むだろう。

涙など出ない、この俺を
軽蔑すればいい。

亡くした恋人に縛られて
愛する女に愛を告げる事も
できない、どっちつかずの
曖昧な俺を、笑いたい奴は
笑えばいい・・・

夜だというのに明るい街

その中へと消えていく
女の後姿が、あの日の
アリスと重なる。

俺は一人きり

夜の街を歩く。

お前を探し求めて

俺は歩く・・・
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