木苺の棘
「モカちゃん
 気をしっかり持ちなさい
 
 今から、タツミさんから
 モカちゃんへの伝言を
 話すわ

 ちゃんと聞いて・・・」

ママは、息を吸い込み
男性の声色を真似て
少し低い声で話す。

「街中で、俺の姿を
 見つけても絶対に
 近寄らないこと
 知らないふりをしろ

 必ず、お前に逢いに行く
 だから泣かずに待ってろ」

嘘であってほしいけど
これは、現実・・・

この世から貴方が
いなくなったら
どうしよう・・・

涙が、頬を伝う。

こんな事を、八重に頼むのは
可笑しいって分かってる。

だけど私は、八重に頼む。
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