木苺の棘
「ヤエ、お願い

 タツミを
 連れて行かないで」

この声は、貴女に届いて
いますか?

ママは、その後も私に
巽の(組の)今の現状を
詳しく教えてくれた。

巽が生きる組は、その筋では
知らない人間はいない程に
有名な、大きな組織の一つ

そう、易々と殺される訳が
無い。

「モカちゃん、大丈夫よ」

そう言った後、ママは
私の肩をポンポンと
叩いてくれた。

本当はママも、私と
同じように不安なはずなのに

彼女は取って置きの笑顔で
私を励ましてくれる。
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