木苺の棘
「躓く私を、彼が
 支えてくださったの」

咄嗟についた二度目の嘘

貴方の手が放れた。

「じゃあ、モカちゃん
 行こうか?」

「はい
 ありがとうございました」

私は、たまき先輩と視線を
合わす事なく、御礼の言葉
だけを述べて振り返らずに
歩く。

お客様の手が、私の腰元に
そっと触れる。

密着する、二つの体・・・

「モカちゃん、元気ないね
 何か心配事?
 
 それとも、気分悪い?」
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