木苺の棘
「いえ・・・
 ごめんなさい

 私ったら、ぼーっと
 してましたぁ?」

「少しだけ・・・
 気にしなくていいよ
 どこか体の具合でも
 悪いのかと思っただけ
 だから」

「ご心配かけてしまって
 ごめんなさい
 このとおり、元気です」

微笑んでみせる私に
向けられた、お客様の
安堵の表情。

こんな私を
心配してくれる人がいる。

巽の事が心配で堪らなくて
不安定な私・・・

しっかりしなくてはいけない。

お客様と並んで歩いている
私の背中、後方に熱い
視線を感じる。
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