木苺の棘
だって、私の瞳には
もう、あの人しか映らない。

厳つい男達を従えて
ぞろぞろと歩く巽の姿・・・

たまき先輩の胸に頬を
寄せて、その腕に
抱かれたままの姿で
私は、巽と見詰め合う。

巽は、片方だけ口角をあげて
ほんの一瞬だけ微笑む。

今すぐ、行きたい。

巽のところに行きたい。

たまき先輩の腕を離れようと
した時、巽が首を左右に振った

そして、動く、貴方の唇・・・

「来るな」

貴方は周囲を男達に
囲まれ、守られている。

貴方の命を狙う者達から・・・
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