木苺の棘
逢いたかった人が
今、そこにいるのに
触れ合えない事実が
こんなにも辛い。

あんなにも、嫉妬に狂う程
焦がれていた、たまき先輩の
腕の中に、今、この時
抱きしめられているのに
私は、別の人を想う・・・

巽、貴方を想う・・・

私、貴方に
聞きたいことが
たくさんあるの。

「アリス、どうかした?」

私が見つめる先に
やくざ風の男達の姿・・・

『アリスちゃんが話してた
 ヤクザさんの彼氏・・・』

巽・・・私、貴方に
どうしても触れたい。

後ろへと、一歩下がる
ヒールの音。
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