木苺の棘
「この馬鹿
 危ないだろうが・・・」

怒る、巽の声・・・

「何かあったらどうする?」

貴方は優しく、大きな手で
私の頭に触れる。

「タツミと一緒なら
 死んでもいい・・・」

「馬鹿な女」

泣いている私を逞しい
腕に抱きながら、巽は
たまき先輩に頭を下げた。

たまき先輩、ごめんね・・・

貴方を残して走り去る車。

ここは、安っぽい
寂びれたラブホテル・・・

でも今は、そんなこと
どうでもいい。

私は、背伸びをして夢中で
巽の唇に触れる。
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