木苺の棘
貴方は、少し照れて微笑み
私達は、指切りを交わす。

離れる、指と指・・・

起き上がる巽は、ベッドの下
床に脱ぎ捨てられた洋服を
拾い集める。

そして、私の洋服を差し出す

「着替えて、帰ろう」

「うん・・・」

ベッドの背もたれに凭れて
私は、シャツに腕を通して
着替える巽を見つめる。

今日はもう、これで
巽と別れなきゃいけない。

寂しい・・・

「だから
 そんな顔するなよ」

私の鼻先を貴方は抓る。

ごめんなさい・・・

謝ろうとした、その時
巽の想いが言葉になる。

「お前を
 帰したくなくなる」

私達は、同じ気持ち。
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