木苺の棘
貴方は、上から私を
見下ろして、口角を上げて
悪戯な微笑を浮かべてみせた。

「今更、言う?
 
 時間、そんなもの
 知らねぇ、忘れた

 お前も忘れろ」

そう言った後

巽は、少年のように
微笑んで見せた。

その笑顔に、私は蕩け
貴方の愛の全てを
受け入れ、この体に刻む。

「・・してる」

「もっと、言って?」

「愛してる

 アリス、お前を
 
 愛してる」

あの、微笑みが

この、愛の言葉が

最後・・・?
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