木苺の棘
巽と別れた後、私は
久しぶりの休日を
我が家で過ごしていた。

ただ、ひとつ
気になるのは、巽の事。

話し合いは、順調に
進んでいるだろうか?

私は、携帯電話を手に
立ち尽くす・・・

やっぱり、そう・・・

私だけが幸せになる事を
八重は許してはくれない。

『許さない』

電話を持つ手が小刻みに
震える。

「モカちゃん、私の声 
 ちゃんと聞こえてる?」

電話から漏れる
お店、ママの声・・・

「聞こえているなら
 返事して、モカちゃん?」

ごめんなさい

今の私には、何も
聞こえない。

ピンポーン・・・
< 207 / 674 >

この作品をシェア

pagetop