木苺の棘
冷たい、頬・・・

眠る巽の瞼にそっと
親指を滑られる。

今朝の巽のように・・・

そして、指先で唇に触れ
口づけを交わす。

前へと流れる私の髪が
巽の頬に触れた。

病室内

聞こえる声・・・

「私を

 殺して・・・」

「モカちゃん、何言うの?」

「リラちゃん」

ママは、首を振る・・・

私は、巽の胸に頬を寄せる。

聞こえない心臓の音・・・
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