木苺の棘
貴方の小指・・・

貴方の香り・・・

「タツミ
 
 あんた
 最高の男やったよ

 ありがとう」

私は、ママに
深く頭を下げて
その場所を離れた。

外に出ると、勢いよく
吹き抜ける風・・・

「ありがとう、ツユカさん」

「御礼なんて止してよ
 
 私は、昔の男に
 さよならしただけ・・・

 そうだ、モカちゃん
 あなた、お兄さんはいる?」

「いえ、いませんけど・・・」

「そう・・・」

「それが、何か?」

「ううん
 何でもないのよ
 気にしないで・・・」
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