木苺の棘
「・・・
 もう少しだけでいい
 僕に時間をくれるかい?」

「はい、楽しいお話
 たくさん
 聞かせてください」

介護をしているという
私の嘘を、彼は信じ
母の事を心配してくれる
優しい人・・・

「君と二人だけの時間を
 持てて、僕は嬉しいよ」

その微笑、巽にどこと無く
似ている・・・

暗い部屋・・・

二人きり・・・

「モカちゃん
 本当にいいの?」

私は、黙ったまま頷く。

見つめ合う、二人。
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