木苺の棘
そして私は、過去の記憶
に頑丈な鍵をかけた。

その鍵が今、たまき先輩の
言葉を受けて開けられて行く

ドアは重く、軋む音と共に
開かれる・・・

私は、閉じ込めた記憶を
思い出す・・・

思い出す・・・

お店の営業時間内に
私は、また他所事を考える。

「失礼します
 モカさん・・・?」

「はい・・・」

ヘルプの女の子が席を立つ。

私の隣には、関係を持つ
例のお客様。

二人きりになり、彼は
私の耳元で囁く。

「モカ・・・
 今日は、どう?」

私は、首を振る。
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