木苺の棘
「それから・・・
 彼には逢った?」

「彼・・・先輩
 ママが?」

「ええ、お兄さんだと
 彼は言っていたけれど
 違うでしょう?」

「はい、高校の先輩です」

「そうなの、高校の・・・
 余計なお世話だとは
 思ったけれど、彼の悲痛な
 面持ちから、貴女の事を
 真剣に心配している事が
 感じ取れたから・・・
 私ったら、つい勝手な事を
 ごめんなさい」

「いえっ、謝らないでください
 彼に会えて、私は・・・・・
 よかったです」

「そう、それならよかったわ
 話はそれだけよ
 モカちゃんは一服が
 済んだ後、席に戻って」

「はい」

ママは、私の肩を
ポンポンと強く叩いた。
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