木苺の棘
「今も、彼の事を
 リラさんは好き
 ・・・ですか?」

彼女は、ゆっくりと頷く。

「モカちゃん、好きで好きで
 どうしようもなくても
 結ばれない愛がある
 
 彼は、こうして
 生きているけれど
 私のものにはならない・・・
 
 私達は、別々の道を歩む

 モカちゃん、貴女と
 亡くなったタツミさんもまた
 別々の道を歩む事になって
 しまっただけ
 
 その事を、どうか
 もう、嘆かないで・・・」

リラさんが、大切な心の内を
私に聞かせてくれたのは
私を勇気づける為・・・

私だけが特別じゃない。

どうしようもない想いを抱えて
生きている人はたくさんいる。
< 263 / 674 >

この作品をシェア

pagetop