木苺の棘
答えられない私を貴方は
強く、抱き締める。

「アリス、大丈夫だよ
 俺が傍に居る」

私は、先輩の背中に
両腕を回して、強く強く
貴方に、しがみ付いた。

もう、誰にも渡したくない。

八重との関係が崩れても
私は、たまき先輩が
欲しかった。

貴方が・・・ほしい。

閉じ込めた記憶が甦った時
私は、八重の告別式の日に
逃げ出した自分を責めた。

赤い瞳で、貴方は私に
何かを言おうとした。

私は、聞かずに逃げた・・・

貴方が、もう一度
私を受け入れてくれるなら
私は、貴方と結ばれたい。
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