木苺の棘
「アリス、俺だよ」

眼鏡の下に見える瞳は
たまき先輩・・・

「どうして、先輩?」

「罰ゲーム・・・
 でも無いか
 お前に、こうして
 逢えたし、行こう
 ついておいで」

私は、たまき先輩と手を繋ぎ
裏手から中へ入る。

ライブに向けて慌しいのかと
思っていた裏側は、静かで
落ち着いた雰囲気だった。

アンプを繋がないギターの音
が、楽屋から聞こえてくる。

「ただいま」

「タマキ、どうだった?
 ファンにバレなかった・・・
  
 お前、何、こんな時に
 女、釣って来てんの?」

「こんな時に
 罰ゲームを始めた
 お前が言う?」
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