木苺の棘
気づかない振りをした。

「アリス、明日
 話したい事がある」

その翌日、八重は死んだ。

両手で顔を覆い、過去を
思い出し、堪えきれずに
アリスは涙声を漏らす。

アリスの肩が、あの日の
八重のように震えている。

私の隣で青向けに寝転ぶ
貴方は、私を力強い腕で
抱き寄せた。

私は、貴方の肩に縋りつき
泣いた。

漣は、悲しい声では
あるけれど、はっきりとした
口調で私に言う。

「ヤエが死んだのは
 全て、俺のせいだ・・・」
< 327 / 674 >

この作品をシェア

pagetop