木苺の棘
「アリス・・・」

貴方は、困った顔で
私を見つめる。

分かってるよ。

繋いだ手を放さなきゃ
いけないこと。

分かってるけど、私

この手を放すことを
躊躇してしまう。

どうしてだろう・・・?

どうして、こんなにも
不安になるの・・・

少女の八重は夢の中で
私に微笑みかけてくれた
じゃない。

大丈夫だよ、アリス・・・

繋いだ手を放そうとした
その時、貴方が私を力強く
引き寄せた。

そして、その腕に私を抱く。
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