木苺の棘
「先輩
 もう離れた方がいいよ
 私なら大丈夫だから」

ホテルを利用する人達が
行き交うロビー。

人の目に着く、こんな場所で
有名人の貴方が、女性を
抱きしめているなんて
分かったら大変な事態になる

「ねぇ、たまき先輩
 早く私から離れて」

気づかれて噂になり
大事になる前に離れなきゃ。

それなのに、貴方は私を抱く
手を緩める事はしない。

「先輩?」

その時、貴方が
私の耳元で囁いた。

「・・・
 そう、呼んで?」

レン、そう呼んで・・・

「ダメだよ、呼べない
 ばれると大変だもの」
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