木苺の棘

誘う衝動

漣・・・

貴方は、時間さえあれば
私の元へ逢いに来てくれる。

ピンポーン。

ドアを開けるとそこには
貴方が立っていた。

黒いキャップ帽を深く被り
眼鏡をずらして、貴方は
微笑む。

「レン、いらっしゃい」

「お邪魔します」

貴方は、いつも決まって
靴を脱ぐ前に、玄関の棚に
外した帽子と眼鏡を置く。

そして、靴を脱いだ貴方は
玄関先で私に触れ抱き寄せる

漣が芸能人だという事を
忘れてしまう程、貴方はいつも
自然に私の前に現われて
普通の恋人同士が過ごすような
楽しい日々を私に与えてくれる

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