木苺の棘
スーパーから少し離れた場所で
立ち尽くす私と、すれ違う男性

通り過ぎたはずの、その男性の
足が、一歩・二歩と戻る。

「お前、確か・・・
 
 こんなところで
 何、してる?」

私の顔を覗き込んだ貴方は
驚いた顔をした。

その戸惑った表情・・・

貴方は、やっぱり
巽に、似ている。

涙が、また一粒
瞳から零れ落ちた。

私の前に立ったのは
敢(イサミ)さん

泣いている私を見つめた敢さん
は、記者の胸倉を掴み、冷めた
声で問う。

「おまえ、こいつに何した?」
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