木苺の棘
きつく絞めあげる、手・・・

息苦しい、男性の声

「何も・してない・・・」

「やめて、やめてください
 何でもないの
 何でもない・・・」

敢さんの手は、男性から
放れた。

「ゴホゴホッ
 
 ハヤマさん、それでは
 お話は、またの機会に」

記者の男性は、その場を
走り去った。

走り去る男性を見つめる、敢
背中に感じる温もり。

振り返ろうとした貴方に
私は言う。

「振り返らないで・・・

 しばらくでいいの
 たった数秒でいいから
 
 このままで居させて
 お願い」
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