木苺の棘
私は、どうしてだか分からない
けれど気づくと敢さん、彼の背
に頬を寄せていた。

緊張してか、動く背・・・

「今だけ
 
 タツミで・・・」

貴方は振り返ると、見上げる
私の唇に口づけを交わす。

その口づけは、忘れようと
思っても、忘れることの
できない・・・

貴方の、巽の口づけ・・・

『亡くなった恋人にそっくりな
 人物が目の前に現れたと
 します
 
 貴女なら、その男性を
 愛せますか?』

『愛してる

 アリス、お前を
 
 愛してる』

この世にはいない
愛しい人の声が聞こえる。
< 459 / 674 >

この作品をシェア

pagetop