木苺の棘
「何も・・・」

嘘は、いけない・・・

「ねぇ、レン、貴方は
 ヤエを忘れられない?
 
 貴方の、あの涙は
 演技じゃない、でしょう?」

『彼の涙は、本物』

「ああ、あの涙は本物だ
 
 ヤエが生きていてくれた
 と錯覚して、流れた涙
  
 ただ、それだけ・・・

 残酷なことを言えば
 ヤエの事を愛している
 から流れた涙ではない
 
 俺はもう・・・」

「言わなくていいよ
 言わなくていい・・・

 無理に
 言葉にしなくてもいいよ」
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