木苺の棘
あなたに逢いたい・・・

「アリス、着いたよ
 ・・・出てこれる?」

「うん
 今すぐ、降りるね」

通話を切った私は、漣に
一秒でも早く逢いたくて
上着を手に持ち、靴は
履きかけのまま部屋を出た。

ドアの前、慌てる私の手元
から、落ちた鍵。

その鍵を拾う、私に
エレベーターのドアが
開く音が聞こえた。

そして、聞こえる足音。

見つめる私の瞳に漣の姿が映る

愛しい人・・・

私は、鍵を掛けることも忘れて
漣の傍へ駆け寄り、漣の腕に
抱かれる。

「レン、逢いたかった
 ・・・さっき、電話?
 それに、どうやって
 中に?」
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