木苺の棘
古い建物ではあるけれど
オートロックは完備されている

「下でお前を待っていたら
 ここの住人に、どうぞって
 声を掛けられたんだ」
 
「駄目だよ、だからって
 ここまで
 逢いに来たりしちゃ・・・」

今、逢いたかったと言った
ばかりの唇。

もう、逢いに来てはいけない
と言う。

私を見つめて、微笑む貴方は
呟く。

「どっち?」

「逢いたかったよ、レン」

貴方は頷いて、しっかりと
その腕に私を抱きしめてくれた

漣の鼓動

漣の息遣い

漣の温もり

漣の声・・・
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