木苺の棘
『たまき先輩
 
 お願い
 お願いだから
 
 私を好きになってほしい
 私は、ずっと貴方が・・・』

「ああ・・・
 
 俺に、一生懸命に想いを
 伝えようとするお前を本当は
 この腕に抱きしめたい
 そう、思った」

抱きしめたい・・・うそ?
 
『アリス、ごめん・・・』

「だけど、ヤエと別れていない
 俺がお前に触れる事は
 赦されない

 お前の想いを聞けば
 俺は止まらなくなる

 あの時の俺は、お前の告白を
 最後まで聞いてやる事が
 できなかった」
 
『お前の願いを今の俺は
 聞いてやることができない』

今の俺・・・・・

貴方は、あの時
確かに、そう言った。
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