木苺の棘

二人の物

彼女が、どうして今
私の働くお店の前に
居るのか?

私には、分からない。

だけど、彼女は確実に
そこに居て、一歩ずつ
私へと歩み寄る。

「羽山、ありすさん
 ですか?」

『アリス、帰ろう』

貴女は、顔だけでなく
雰囲気までも

八重にそっくりで
私は混乱する・・・

過去を思い出し
過去に縛られ

心が締め付けられて
苦しい。

苦しい・・・

彼女は瞳を潤ませ
私に告げる。
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