木苺の棘
でも、その後も女の子は
店外で、私の仕事が終わる
のを待っているらしい。

何度も帰るようにと、スタッフ
が話して聞かせても、彼女は
その場所を動かない。

『どうしても、会って
 話したい事があるの』

困る、スタッフ。

「こんな時間に女の子が一人
 ・・・とても心配だわ

 接客のところ申し訳ないけど
 その子に会って、帰るように
 話してくれる?」

「はい、分かりました」

「何かあれば、スタッフを
 呼んでね」

「はい」

お店のドアが開くと、そこに
帽子を深く被る女の子の
姿がある。

閉まるドア・・・

彼女が、帽子を取ると
私の胸は苦しくなり、熱くなる
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