木苺の棘
「逢引って、あの雑誌に
 書かれてあった事柄は
 嘘なの?」

「あれは、嘘です」

ほっと安心したのも
束の間、彼女は言う。

「でも、ロスでの撮影現場を
 抜け出して、レンさんに
 会いに行ったのは事実です

 それから、あそこに書かれて
 ある、わたしのレンさんへの
 想いの全ても、真実
 
 わたしは、レンさんが
 好きで好きで堪らない

 わたしを見つめて流した
 あの悲しい涙に
 わたしは、レンさんの
 心の闇をみたような気がした

 レンさんを、悲しみから
 救えるのはわたしだけ」

その瞳は
自信に満ち足りていた。

全てを捨てても、漣を愛したい

その情熱は凄まじく、私の想い
など彼女の想いには劣っている

諦めてしまいそう・・・
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