木苺の棘
「レンさんの愛がほしい
 彼の愛が
 手に入らないのなら 
 
 私は今すぐ楽になりたい
 楽になって死んで
 (しまいたい)」
 
アリス、聞かないで

それ以上

聞いては、駄目だ。

私の両耳を塞ぐ、大きな手。

篭もる声は、確かに言った。

『死んでしまいたい』

耳元に、優しく触れる
大きな手の感触・・・

驚く、彼女の瞳・・・

彼女の瞳は、私の後ろに立ち
私の耳を塞ぐ漣の姿を見つめ

漣の存在に驚き、大きく
見開いたのに、私には
その表情が私の言葉を聞いて
驚いた八重の表情と重なった
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