木苺の棘
仕事を終えた私は、久しぶりに
マミちゃんのお義兄さんの店に
お酒を飲みに出かける。

その途中、しばらく歩いた所で
マミちゃんが上着を忘れた事に
気づき、彼女は店へ取りに
戻った。

私は、更けていく夜の街に
一人きり、マミちゃんを待つ

そんな私に聞こえる声。

聞き覚えのある、その澄んだ
声は、露歌さんの声。

見つめる視線の先に
露歌さんの姿が映る。

「ツユカさん・・・?」

彼女へと歩み寄ろうとした
私の足は止まる。

露歌さんが話している相手は
敢さんだった。

瞳を手の甲で拭う、露歌さん

彼女は、泣いている?
< 537 / 674 >

この作品をシェア

pagetop