木苺の棘
「イサミ、お願い
 危ない事はしないで
 組を抜ける、あの約束は
 いったいどうなったの? 

 タツミの墓前で
 タツミに約束したでしょう?
 
 貴方は、また・・・
 約束を破るの?」

「ツユカ、すまない
 今は、組を放れられない」

露歌さんから、瞳を逸らす
敢さん。

「親分さんは、いつ組を
 辞めてもいいと、そう言って
 下さっているんでしょう?
 どうして・・・
 
 まだ、親分さんに貸しがある
 って言うの?
 貴方は、もう十分
 組の為に働いた
 罪だって背負って・・・」

罪を背負う・・・?

敢さんが刑務所に入所して
いたのは、誰かの罪を
背負ってのことなの?
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