木苺の棘
立ち尽くす私を呼ぶ声。

「アリス、お待たせ
 思ったよりも、お店
 遠くて疲れちゃった
 どこかでタクシー・・・」

頭を下げる、マミちゃん。

「ツユカさんまで
 どうかしたんですか?」

さっと、涙に濡れた瞳を
拭う露歌さん。

「モカちゃん、あなた
 いつから、ここに居たの?」

離れる、敢さんと露歌さん
二人の距離。

私を見つめる、敢さんの瞳に
動揺する私。

「今・・・です」

「そう・・・」

「俺、行くわ」

「イサミ、待って
 話はまだ・・・」

私達に背を向け、貴方は
手を一度振り歩いて行く。

敢さんの後姿を
私は見つめる・・・
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