木苺の棘
『ヤクザになっても
 俺がお前を守る
 だから、約束どおり
 一緒になろう』

『馬鹿なこと言わないでよ
 
 ヤクザにはならないと
 約束したくせに・・・

 貴方は絶対に私を守れない

 帰ってこない貴方(父)を
 母のようにただ黙って
 待ってるだけの人生なんて
 私は嫌なの
 私達、別れましょう』

「そう言ったはずの女は
 ヤクザの女に成り下がり
 ヤクザに抱かれる

 それも、本妻から生まれた
 一生、頭の上がらない
 異母弟の女にね

 私の仕打ちに、彼はただ
 笑うしかなかった・・・」

過去を思い出して、彼女は
切ない表情を浮かべる。
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